俺が面白いと思ったおすすめの小説を紹介していくスレ

 

1 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)15:05:48 ID:WEw5EZ3jw
順番は適当。ネタバレしない程度に冒頭と全体的な雰囲気を紹介していく。

更新はかなりゆっくり。

前回はアニメ紹介スレ立てたのでこちらも見てってくれhttp://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1399620275/

 

 

2 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)15:08:23 ID:sh0OE6UM7
小説ってラノベ,電撃系じゃないよな?

3 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)15:09:30 ID:IjBnpvUPF
Kindleで売ってる奴にしてくれ、物体だともう部屋におけない。

4 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)15:19:42 ID:WEw5EZ3jw
>>2ラノベもあるよ!
>>3すまんw俺が読んだやつなのでKindleで売ってるかどうかはわかんないw

ゲルマニウムの夜 ★★★★★
花村萬月 文春文庫

ゲルマニウムの夜―王国記〈1〉

人を殺して、育った修道院に戻ってきた青年が主人公。貞淑な修道女を犯したりと結構エロイ描写が多い。
一冊を通してだるみが無く、引き込まれてしまう名作。怖い部分は開いたページから圧力を感じるほど。

僕の耳の奥、鼓膜に接するその内側にしこまれているのはわりと性能の良い銀色をした音叉だ。
その音叉がいきなり共鳴した。僕は在日米軍払い下げのパイプベッドを軋ませ、腹筋だけでゆっくりと上体を起こした。
そのせいで耳に突っ込んでいた鉱石ラジオのイヤホンが引っ張られ、耳の穴から抜け落ち、床から三センチくらいの高さで左右に揺れて振り子のまねごとを始めた。
じっと耳を澄ます。白がセメントで固めた地面を行く。小走りに。狂おしく。白の足音はいつだってちちちちちと金属質だ。青い匂いの煌めきが脳裏をはしった。鼻の奥がつんとした。
たかが犬の足音だ。だが鉄とこすれる響きがある。おきあがることもないのだが、振り子のイヤホンと鉱石ラジオ本体をポケットに入れて、外に出た。

↑こんな感じで作者、星(★★☆☆☆だと二つ星評価)、作者、出版社、軽く内容、1~2ページを書き込んでく

7 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)15:22:36 ID:sh0OE6UM7

こういう出来る>>1がスレ立てるべきだよな

 

 

 

9 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)15:34:56 ID:WEw5EZ3jw

僕は勉強ができない ★★★★☆
山田詠美 新潮文庫

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

男子高校生が主人公の一人称青春小説。友人に勧められて読んだ一冊で、読む前は「女の作家が男子高校生の気持ちなんてわかんのかよw(一人称なので)」と思っていたが、読んでびっくり超面白い。
ショットバーで働く年上の彼女だったり、母親だったり祖父だったりと登場人物がみんな魅力的で、油断して読んでいると目頭に熱いものがこみあげてくる。
ただ、ちょっと句読点がしつこい。が、すぐ馴れる模様。

クラス委員長は、ぼくと三票の差で、脇山茂に決まった。彼は、前に出て挨拶をするために立ち上がった瞬間、振り返り、ぼくの顔を誇らしげにちらりと見た。
相変わらず仕様のない奴だなぁと、僕は思う。彼は、ぼくが忌々しくてたまらないのだ。
「えー、皆さんに選出されて、委員長を務めることになった脇山です。まだ馴れないクラスの皆さんが、ぼくを選んでくれたことは、大変光栄で……」
光栄もなにも。ぼくは、頬杖をつきながら、ぼんやりと彼の挨拶を聞いていた。皆、彼の名前が、試験の成績発表で常に一位の場所に載っているから、書いただけだ。
クラス委員長が誰になろうと知ったことではないのだ。それなのに、彼は、顔を紅潮させて、喋りまくっている。委員長をやると、進学に有利なのだろうか。あれ? 大学受験に内申書なんてあったっけ。

 

 

11 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)15:37:31 ID:nG3OzVEog

花村おもろいな

12 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)15:51:19 ID:WEw5EZ3jw
>>11面白い! 全部が全部じゃ無いけどw

錦繍 ★★★★★
宮本輝 新潮文庫

錦繍 (新潮文庫)

離婚した元夫婦が十年後旅先で偶然再会し、そこから文通が始まる。別れた理由であったり、現状であったり、当時伝えられなかった気持ちであったりを、ゆっくり伝えていく話。
小説の本文がお互いの手紙という構成で、随所に「また長い手紙になってしまいました」とあるが、ほんとだよwと少し笑ってしまう。

(読後にどんな感想を抱いたかは一切書かない。すっきりしたとかガグブルしたとか。バラすのは冒頭と裏表紙に書いてあるような簡単な紹介程度なのでご安心を)

前略
蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リストの中で、まさかあなたと再開するなんて、本当に想像すら出来ないことでした。
私は驚きのあまり、ドッコ沼の降り口にたどり着くまでの二十分間、言葉を忘れてしまったような状態になったくらいでございます。
あなたに、こうしてお手紙を差し上げるなんて、思い返してみれば、それこそ十二、三年ぶりのことになりましょうか。
もう二度と、あなたとはお目にかかることはないと思っておりましたのに、はからずもあのような形で再会し、すっかりお変わりになってしまったお顔立ちやら目の光やらを拝見して、私は迷いに迷い、考えに考え抜いて、とうとう思いつくすべての方法を講じて、あなたのご住所を調べ、このような手紙を投函することになってしまいました。
私の我が儘を、こらえ性の無い相変わらずな性格をどうかお笑い下さい。

 

 

15 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)16:48:55 ID:WEw5EZ3jw

葉桜の季節に君を想うということ ★★★★★
歌野晶午 文集文庫

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

ミステリー作家のなかでは歌野晶午は三本の指に入るくらい好きな作家で、とくに今作は面白いし読みやすい。

射精したあとは動きたくない。相手の体に覆い被さったまま、押し寄せてくる眠気を素直に受け入れたい。
以前歯医者の待合室で読んだ女性週刊誌に、後戯のないセックスはデザートのないディナーのようふふ、というようなことが書いてあったが、男から言わせてもらえればふざけるなバカヤローである。
射精した直後に乳など揉みたくない。
たとえ相手がジェニファー・ロペスであってもだ。
男という生物の体は、エデンの昔からそうできている。
なぜ俺がそういうことを考えているのかというと、今まさに精を放出し、女の腹の上で荒い息を吐いているからだ。

 

 

16 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)16:53:53 ID:qYjmNVhk2

ちょうど本買おうと思ってたから参考にしよう

17 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)17:59:32 ID:WEw5EZ3jw
>>16是非そうしてくれw

砂の女 ★★★☆☆
安部公房 新潮文庫

砂の女 (新潮文庫)

砂の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められた男の話。穴の底の一軒家には女がいて、そいつとなんやかんやある話。けっこう昔の話だけど設定が面白くて引き込まれた。

八月のある日、男が一人、行方不明になった。休暇を利用して、汽車で半日ばかりの海岸に出かけたきり。消息をたってしまったのだ。
捜索願も、新聞広告も、すべて無駄に終わった。
むろん、人間の失踪は、それほど珍しいことではない。統計のうえでも、年間数百件からの失踪届が出されているという。
しかも発見される率は、意外に少ないのだ。
殺人や事故であればはっかりとした証拠が残っているし、誘拐のような場合でも、関係者には、一応その動機が明示されるものである。
しかし、そのどちらにも属さないとなると、失踪は、ひどく手がかりのつかみにくいものになってしまうのだ。

 

 

19 :名無しさん@おーぷん :2014/05/26(月)20:27:05 ID:WEw5EZ3jw
夜は短し歩けよ乙女 ★★★★☆
森見登美彦 角川文庫

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

ちょっとくせのある男が主人公の恋愛ファンタジー。視点としては主人公の男と、片思い相手の「黒髪の乙女」の2パターンがある(確か)
非常に読みやすく面白いおすすめの一作。

これは私のお話ではなく、彼女のお話である。
役者に満ちたこの世界において、誰もが主役を張ろうと小狡く立ち回るが、まったく意図せざるうちに彼女はその夜の主役であった。
そのことに当の本人は気づかなかった。今もまだ気づいていまい。
これは彼女が酒精に浸った夜の旅路を威風堂々歩き抜いた記録であり、また、ついに主役の座を手にできずに路傍の石ころに甘んじた私の苦渋の記憶でもある。
読者諸賢におかれては、彼女の可愛さと私の間抜けぶりを二つながらに熟読玩味し、杏仁豆腐の味にも似た人生の妙味を、心ゆくまで味わわれるがよろしかろう。
願わくは彼女に声援を。

 

 

22 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)09:06:26 ID:J9avsNtaN
さまよう刃 ★★★☆☆
東野圭吾 角川文庫

さまよう刃 (角川文庫)

無残に殺された娘の仇を討とうと父親が復讐に動き回る話。東野圭吾は総じて読みやすいけど、これは序盤から登場人物が可哀想で読むのが大変だった。

真っ直ぐに伸びた重心の鈍い輝きに、長峰は心の奥底が疼くのを感じた。
かつて、射撃に熱中していた頃のことを思い出したのだ。
引き金に指をかけている間の緊張、撃った瞬間の衝撃、的に当たったときの快感、いずれも鮮やかな記憶として全身に焼き付いている。
長峰が見ているのはカタログの写真だった。
以前に銃を購入したことのある店が、何年かに一度、新製品を紹介するカタログを送ってくるのだった。
写真の下には、「銃床は半艶仕上げ、イタリア製ガンケース付き」とある。

 

 

23 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)09:13:57 ID:J9avsNtaN

西の魔女が死んだ ★★★★★
梨木香歩 新潮文庫

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

中学生の女の子が主人公。学校に合わず、田舎のおばあちゃんの家にしばらく引き取られ、そこで生活する話。
優しいおばあちゃんだったり、思春期の子供特有の、心の成長だったりを描いている。

西の魔女が死んだ。四時間目の理科の授業が始まろうとしているときだった。
まいは事務所のお姉さんに呼ばれ、すぐにお母さんが迎えに来るから、帰る準備をして校門のところで待っているように言われた。何かが起こったのだ。
決まりきった退屈な日常が突然ドラマティックに変わるときの、不安と期待がないまぜになったような、要するにシリアスにワクワクという気分で、まいはいわれたとおり校門のところでママを待った。
ほどなくダークグリーンのミニを運転してママがやってきた。
英国人と日本人との混血であるママは、黒に近く黒よりもソフトな印象を与える髪と瞳をしている。
マイはママの目が好きだ。でも今日は、その瞳は酷く疲れて生気が無く、顔も青ざめている。

 

 

 

25 :名無しさん@おーぷん :2014/05/27(火)09:29:15 ID:J9avsNtaN
青空の卵 ★★★☆☆
坂木司 創元推理文庫

青空の卵 (創元推理文庫)

短編連作ミステリー。ミステリー作品だが、人が死なない。日常の謎をひきこもりの探偵役が解き明かしていく。
主人公と探偵役との友情がちょっと、ん?となるが、全体を通してみると面白い一作。

蝉の声が弱々しい。つい昨日までは今を盛りとばかりに鳴き叫んでいた連中が、一夜にして瀕死のうめきをあげている。
濃い緑の形が落ちた道を、ぼくは汗をぬぐいながら歩く。
恐怖というものは人それぞれで、ぼくの知り合いにはこういう道を一人きりで歩くのは絶対に嫌だ、という奴がいる。
白昼夢の中の登場人物になってしまったようで耐えられないんだそうだ。
僕はといえばいたってノーマルなもので、やはりこういう道は夜中の方が怖い。
最近はこの近所でも女性を中心に狙う通り魔や、不特定多数の人間に殴りかかろうとする傍観が出没しているとの噂も聞くし、何かと用心するにこしたことはないだろう。

 

 

 

26 :名無しさん@おーぷん :2014/05/28(水)00:26:21 ID:6Wjm7uBgu
面白そうだと思って錦繍買ってきたよ〜^^

27 :名無しさん@おーぷん :2014/05/28(水)00:31:11 ID:6bWiuU8mQ
参考になるスレ

28 : :2014/05/28(水)13:47:24 ID:zvUDINRfR
>>26読み終わったら感想きかせてね!w
>>27ありがとうw 非常にゆっくりな更新だがゆるしてねw

隣の家の少女 ★★★☆☆
ジャック・ケッチャム 扶桑社ミステリー

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

隣に引っ越してきた少女『メグ』が、虐待、監禁、暴行される話。
読後の余韻がすごく幸せな気分になれた作品を読み終わったあと、次は逆に残酷な話でも読んでみるかとネットで調べて買った一冊。
読みやすくて冒頭から引き込まれる。結末がどうなるかは言えないので陰鬱な気分になりないなーなんて時があれば読んで欲しいとだけ。

苦痛とはなにか、知っているつもりになっていないだろうか?
わたしの2番目の妻に聞いてみるといい。彼女は知っている。というか、知ってるつもりになっている。
彼女は、十九か二十歳のころ、二匹のネコ――自分の飼い猫と近所の猫――の喧噪に巻き込まれたことがあったそうだ。
そして一方の猫が彼女に飛びついて、木に登るみたいに彼女の体を駆け上がったらしい。
腿も、胸も、腹も、ずたずただ。

 

 

 

29 : :2014/05/28(水)14:03:11 ID:zvUDINRfR

夏への扉 ★★★★☆
ロバート・A・ハインライン ハヤカワ文庫

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

コールドスリープを利用して未来に行く男が主人公のSF作品。
SFとはいっても小難しい話や超理論が展開することもなく、妙に現実感があって話に入り込めるし、登場人物に感情移入しやすい一作。
小さい文字がページをぎっしり埋め尽くしてるけど、上記の通り簡単に話に入り込める良作なのでまったく苦にならない。

六週間戦争のはじまる少しまえのひと冬、ぼくとぼくの牡猫、護民官ペトロニウスとは、コネチカット州のある古ぼけた農家に済んでいた。
マンハッタンの被爆地帯の端にあたったし、古い木造家屋というものはティッシュペーパーに火を点けたようによく燃えるから、今でも、まだあの農家がそこに建っているかどうかは疑問だ。
おそらくはあるまい。
よし建っているにしても、死の灰が降ったから、価よく貸すというわけにはいかないだろう――が、当時ぼくら――つまりぼくとピートは気に入っていた。

 

 

 

30 : :2014/05/28(水)14:14:14 ID:zvUDINRfR
アルジャーノンに花束を ★★★★☆
ダニエル・キイス 早川書房

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

大人になっても幼児程度の知能しかなかったチャーリーゴードンが、手術によって少しずつ知能、知性を獲得し、そして……。という話。
文章は知性を獲得していく主人公チャーリーの「経過報告」という形が全編を通して一貫している。なので、少しずつ知性を獲得していくのがあからさまに見て取れる。
最初の50ページくらいまでは一気に読まないと諦めてしまうかもしれないが、中盤、後半になっていくにつれてどんどん面白くなってくる一冊。

けえかほおこく1―3がつ3日
ストラウスはかせわぼくが考えたことやおもいだしたことやこれからぼくのまわりでおこたことはぜんぶかいておきなさいといった。
なぜだがわからないけれどもそれわ大せつなことでそれでぼくが使えるかどうかわかるのだそうです。
ぼくを使てくれればいいとおもうなぜかというとキニアン先生があのひとたちわぼくのあたまをよくしてくれるかもしれないといたからです。

↑タイプミスではないよw

 

 

 

31 : :2014/05/28(水)14:20:42 ID:zvUDINRfR
と、三作連続で海外の小説を紹介したので、ちょっと海外小説について語らせてくれw

翻訳されているからだと思うけど、とにかくクセがなくて取っつきやすいのが特徴だと思う。
日本の小説特有のくどさが無いというか、悪い言い方をしてしまえば味が無いというか…。

日本の小説はくせがあって、味があって、たまに「ん?」と思うこともあるけど、一度入り込んだらものすごい深く潜ってられるような感覚。
海外の小説はとにかく読みやすいけど、浅い子供用プールみたいに深く入り込めないものが多い気がする。

 

 

32 :名無しさん@おーぷん :2014/05/28(水)14:53:27 ID:dG0XsoVEN
隣の家の少女の文章はたしかに読みやすかった
内容はアレだけど

33 :名無しさん@おーぷん :2014/05/28(水)15:06:54 ID:K47PJfAaj
>>31
そーゆー意見もあるのか
俺はどっちかって言うと、翻訳のほうが苦手なんだよね
翻訳者のウデにもよるんだろうけど、構文上無理してる感があったり
台詞の口調から人物の個性が把握しづらかったり

こーゆーとき原文で読めないのは勿体無いと思うわ

34 : :2014/05/28(水)16:00:51 ID:zvUDINRfR
>>32内容はアレだよね笑

>>33俺の言い方がちょっと悪かったみたい。俺も日本小説の方が好きだよ!入り込める方が面白いし、読後の感じも日本小説の方がいい。
翻訳者が書いた方が良い意味でも悪い意味でもクセが無いって言いたかったw
俺も原文で読めるような語学力が欲しいよw

潮騒 ★★★★★
三島由起夫 新潮文庫

潮騒 (新潮文庫)

一番好きな小説のひとつ。
三島由起夫の中でも一番好きなのがこの『潮騒』難しい話ではなく、たんなる恋愛小説なので気軽に読めると思う。
内容よりも、三島由起夫の文章を楽しむ一冊。ページ数も少ないので気軽に読めると思う。
純文学ってなんか難しいうえにあんまり面白くないって印象だったけど、この一冊で変わった。

冒頭じゃなくって好きな一節書いてく。

○(嵐のよるに好きな女の子との待ち合わせ場所に向かうシーン)
しかし若者は嵐へ顔を向けて昇ってゆく。
嵐に抗おうというのではなくて、丁度彼の静かな幸福が、静かな自然との連関の中で確かめられるように、
今の彼の内部は自然のこの狂騒にいいしれぬ親しみを感じるのであった。

○石灰石の石段はそれでも夜の微光を残らず集め、新治の足下に巨きな荘厳な瀑布のように白く懸かっている。

○(会うのを禁じられたが、夜中にこっそり会いに行くシーン)
ときどき二階の窓があき、初江が顔を出した。
月がうまい具合にその顔を照らしてくれる時をのぞいて、女の顔は影に包まれて見えた。
しかし若者のすぐれた視力で、その潤んでいる目までがよく見えるのであった。
隣近所を憚って初江は声を出せなかったので、新字も裏庭の小さな畑の石垣の影からものも云わずに少女の顔を見上げているだけである。
尤もこんな儚い逢瀬の辛さは、龍二の運んでくる次の日の手紙にかならずつぶさにしたためており、それを読むとはじめて姿と声とが重なって、
ゆうべみた無言の初江の姿は声と動きを得ていきいきとした。

40 : :2014/05/29(木)15:48:45 ID:POmbXZnJi

密室殺人ゲーム王手飛車取り ★★★★★
歌野晶午 講談社文庫

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)

ネット上だけの知り合い五人が、それぞれ殺人推理ゲームを出題する話。推理ゲームは実際に人を殺して出題される。
五人のうち一人が『出題者』、他の四人が『回答者』になる。
問題ごとに話が独立しているので、短編連作のような感覚で読みやすいし、超面白い!

面白すぎて『密室殺人ゲーム2.0』という続編が発売されたが、そちらはあまり面白くない。

頭狂人(とうきょうじんと読むハンドルネーム)は自宅の自分の部屋にいる。
4LDkの分譲マンションの六畳相当の洋室である。
コーナーに近い壁際にはスチール製のパソコンラックがある。
冗談にはインクジェットプリンターが、中断には液晶ディスプレイが、下段にはタワー型のパソコンが置かれている。
頭狂人はその前の、人間工学に基づいて設計されたというOAチェアに坐っている。頭にはダースベーダーのマスクをかぶっている。
20インチワイド画面の液晶ディスプレイの中には五つのウィンドウが開いている。
いずれのウィンドウにもビデオカメラの映像が映し出されている。

 

 

 

41 : :2014/05/29(木)15:58:02 ID:POmbXZnJi
陽だまりの彼女 ★★★☆☆
越谷オサム 新潮文庫

陽だまりの彼女 (新潮文庫)

学年有数のバカと呼ばれ、さらにイジメられていた女子が十年ぶりに再会すると美人になっていた。というのが導入の、非常に読みやすい恋愛小説。
一人称視点で、主人公は男。
今度映画化される(された?)らしい。

何度確かめても、受け取った名刺には「渡来真緒」とある。
マナー違反であることはわかっていたが、僕は名刺に印刷された名前とテーブルの向こうの人物の顔を繰り返し見比べてしまった。
相手も目を丸くし、こちらをまっすぐ見つめ返してくる。
その眼差しは、落ち葉が舞う公園でのちょっとした事件の際に見せたものと、そっくり同じだった。
やっぱり、真緒だ。あの渡来真緒だ。

 

 

 

42 :1 :2014/05/30(金)18:12:01 ID:RV1EqocIL
アヒルと鴨のコインロッカー ★★★☆☆
伊坂幸太郎 創元推理文庫

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

「一緒に本屋を襲わないか?」引っ越した早々お隣のイケメンにそう言われた男。普通なら断るのだろうが、ついていってしまう。
数年前と現代とをいったりきたりして(SF的な意味ではなく)少しずつ謎が解き明かされていく話。

腹を空かせて果物屋を襲う芸術家なら、まだ格好がつくだろうが、僕はモデルガンを握って、書店を見張っていた。
夜のせいか、頭が混乱しているせいか、罪の意識は無い。
強いて言えば、親への後ろめたさはあった。
小さな靴屋を経営している両親は、安売りの量販店が近くに進出してきたが為に、あまり良好とは言えない経済状況であるにもかかわらず、僕の大学進学を許してくれた。
一人暮らしの仕送りを出すことを決断してくれた。
そんなことをさせるために大学へやったのではない、と彼らが非難してくれれば、そりゃそうですよね、と謝るほかに無かった。

 

 

 

43 :1 :2014/05/30(金)18:26:42 ID:RV1EqocIL
春季限定いちごタルト事件 ★★★★★
米澤穂信 創元推理文庫

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

米澤穂信の小市民シリーズの第一作。
謎を解き明かしたくてたまらない少年小鳩くんと、甘いものが大好きな少女、小佐内さんはそれぞれの理由から『小市民』を目指していた。
小市民とはいわゆる普通の人。自分が小市民になるために、二人は互いが互いを利用する互恵関係を結んで、自分たちの悪癖を消し去ろうとする。
小佐内さんがぐう可愛い。

しょっぱなに夢の話というのも芸が無いけれど、つらつら考えるにここから始めるのが一番よさそうだ
オチが夢というよりは、いくらかマシだろう。

夢の中でぼくは、衆人環視の中、級友を告発していた。こんな具合に。
「つまり××くん、以上の論証からわかる通り、事実は明々白々だ。僕が最初に思ったとおり、つまりはタイムテーブルで片がついた。証拠がないと認めないというなら出してもいいけれど、まあ、なんだね。もう逃げ道はないよ。アリバイ作りに~~(中略)」
それは誰だったろう。心当たりは何人かいる。ぼくにそういうことを言ってくれそうな相手は。彼、もしくは彼女は、にこにこと笑いながらこう言った。
「本当にお見事。鮮やかな推理。綺麗な証明。でも、その、まあ、なんていうか、言いづらいんだけど、ハッキリ言わせてもらうとさ、きみ、ちょっと鬱陶しいんだよね」

いやまったく酷い夢を見たものだ。

 

 

 

44 :1 :2014/05/30(金)18:50:54 ID:RV1EqocIL
珈琲店タレーランの事件簿~また会えたならあなたの淹れた珈琲を~ ★★★★☆
岡崎琢磨 宝島社文庫

珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

コーヒー大好き青年がふとした切っ掛けで入った珈琲店で美味い!なんぞこれ!となり、美女バリスタの切間美星と出会う。
コーヒーを淹れるのと同じくらい謎解きが得意な彼女は、店に持ち込まれる謎をひょいひょい解いていく話。
ミステリーではよくある設定ではあるが、特に北森鴻の香菜里屋シリーズに似ているなと思ったのは俺だけじゃないはずw
話は読みやすくて面白く、おすすめ。

――出会った!
もう少しで僕は、思わず叫んでしまうところだった。
古めかしい喫茶店のフロアに、客はたったの一人だけ。
BGMのジャズミュージックが虚空を虚しく空回りするほか、店内に響く音はといえば、カウンターの奥にたたずむ老人――マスター、とでも呼びたくなる風貌だ――が扱う食器の立てるそれくらいだ。
つまり、僕が叫べばこの落ち着いたムードはぶちこわしになる。
そのような状況さえ一瞬、忘れてしまうほどの衝撃だったのだ。

 

 

 

 

48 :1 :2014/06/01(日)21:33:10 ID:ccN4eFjXL
見てくれてる人がいたのかw じゃあゆっくり続ける。

花の下にて春死なむ ★★★☆☆
北森鴻 講談社文庫

花の下にて春死なむ (講談社文庫)

>>44で書いた香菜里屋シリーズの第一作。ミステリーの短編連作。
ビアバーの店主が客の持ちかける謎を解き明かす話。

淡い空の青に、ぬっとつきだした煙突の咲希から白い煙が細く溶けてゆくのが見えた。
今日、この祭場を利用しているのは七緒のグループ以外にはいないはずであるから、煙は片岡草魚が姿を変えたものに違いない。
そういえば、わずかな春の風にも簡単にたなびく煙の様子が――いかにもあの人らしい……。

 

 

49 :1 :2014/06/01(日)21:42:23 ID:ccN4eFjXL
殺戮にいたる病 ★★★★☆
我孫子武丸 講談社文庫

殺戮にいたる病 (講談社文庫)

思わず顔をしかめたくなるほど怖くて気持ち悪いホラー(ミステリー?)小説。
油断して入り込んでいるといるとホントに吐き気をもよおす一作。

エピローグ(間違いでなくエピローグから始まる)

蒲生稔は、逮捕の際まったく抵抗しなかった。
樋口の通報で駆けつけた警官隊は、静かに微笑んでいる稔にひどく戸惑いを覚えた様子だった。
彼の傍らに転がった無惨な死体を見てさえ、稔と、これまで考えられてきた殺人像を結びつけるのは、その場の誰にとっても困難なことだった。

引用:http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1401084348/l50